75年ぶりの改正が決定した大麻取締法。
新しく大麻の使用を取り締まる「使用罪」の創設など、大麻使用に対する厳罰化も法改正の内容に盛り込まれています。
気になるのがCBDなど大麻由来成分を使用したアイテムへの影響ですよね。
そこでこの記事では大麻取締法の改正内容を確認しつつ、CBD関連製品に対する影響を解説していきます。
大麻取締法の改正について分かりやすく要点をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください!
そもそもCBDとは?
大麻取締法の改正内容などに移る前にまずは「CBD」について簡単にご紹介します。
CBDは大麻由来の成分で、鎮静作用や抗炎症作用があるとして医療現場を始め近年注目度の増す成分です。
大麻由来と聞くと、危険なイメージがありますがれっきとした合法的な成分となっています。
というのも大麻の成分は「THC」と「CBD」の2種類に大きく分類されており、危険な成分と安全な成分に分けることができるのです。
成分 | CBD | THC |
---|---|---|
効果・特徴 |
|
|
上記のように、いわゆる大麻のハイになるイメージはTHCによるもので、CBD自体は人体に害の無い成分とされています。
最近ではCBDを配合したグミやオイルなども販売されており、日常生活に取り入れる人が多くなってきています。
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【結論】法改正によるCBD製品への影響は無い
それではいよいよ、今回の大麻取締法改正によるCBD製品への影響を解説していきます。
結論から先にご紹介すると、今回の大麻取締法改正によってCBD製品への影響は特にありません。
新しく創設される大麻の「使用罪」の対象にもならないため、基本的にはこれまで通りCBD製品をご使用頂けます。
違法成分のTHCは変わらず違法
CBD製品についてはこれまで通り合法的に使用可能ですが、現在でも違法とされている「THC」についてはこれまでと変わらず違法成分となっています。
またTHCは今回の法改正で大麻と同じ「麻薬」として分類されているため、「使用罪」の適用対象にもなっています。
従来のように所持だけでなく、使用も規制対象となっているため注意が必要です。
THCH・THCV・HHCHなども規制の対象に
またTHCと類似する成分としてTHCHやTHCV、HHCHなども規制の対象となっています。
これらの成分は大麻取締法ではなく、指定薬物として薬機法の対象となりますが、販売・所持・使用が禁止される点では同様ですのでお気を付け下さい。
特にHHCHは2023年11月22日に指定され、12月2日から施行されるため、現在お持ちの方は速やかに処分するようにしましょう。
また現在では個別に指定されているこうした成分ですが、今後はTHCに類似した成分をまとめて規制する方針が予想されますので、上記以外の成分についても使用を控える方が良いでしょう。
なぜ大麻取締法を改正するのか?背景を解説
ここまで、大麻取締法の改正によるCBD関連製品への影響をご紹介しました。
CBDについては法改正後もこれまで通り、合法的に使用して頂けるためご安心下さい。
75年ぶりに改正が決まった大麻取締法ですが、なぜ今改正する必要があったのでしょうか?
大麻法が改正される背景には実は2つの大きな事情が存在しています。
背景①|若者の大麻使用の蔓延
近年CBDなどクリーンで合法な大麻成分のイメージを利用して、本来は違法である大麻そのものや、違法成分を含んだ製品も若者の間で広がりつつあります。
実際に2023年にはある大学のアメフト部部員や、某大学の相撲部部員など大学生の大麻所持が発覚し、若者の間での大麻の流行が問題になりました。
また大麻はこれまで「使用」を取り締まる法律が無かったことや、その他の薬物に比べて効果が穏やかである点も、手を出しやすい要因と言われています。
しかし大麻は、より強い違法薬物へつながる「ゲートウェイ・ドラッグ」として利用されることも多い薬物。
こうした若者の間での流行が、より重大な薬物問題へと発展する可能性が高く、今回法改正へと繋がることになりました。
背景②|海外での大麻規制の緩和
一方、大麻には医薬品としての効果が期待される成分も含まれています。
例えばCBDなどは、てんかんの治療薬として臨床の現場で使用されることのある成分です。
こうした大麻の医薬品としての使用を認めている国は、イギリスやドイツ、アメリカ、韓国など20か国以上存在しています。
また世界保険機関(WHO)が定める薬物の分類でも、2020年に大麻を最も危険とされている薬物の分類から外すことが決定しています。
このように世界的に大麻の医療使用を後押しする流れがあり、日本もこれに乗る形で今回の法改正が決定する運びになりました。
法改正の内容やポイントは?
ここからはCBD製品以外の内容も含め、大麻取締法の改正の内容を分かりやすくご紹介していきます。
大麻全般に関わる法改正についてポイントを抑えることで、今後のCBDに対する規制の動向を読むこともできますので、ぜひ最後までご覧下さい!
医療での活用&違法成分の取締がポイント
今回の大麻取締法のポイントについて、厚生労働省が発表している資料には以下のように明記されています。
大麻草の医療や産業における適正な利用を図るとともに、その濫用による保健衛生上の危害の発生を防止するため、①大麻草から製造された医薬品の施用等を可能とするための規定の整備、②大麻等の施用罪の適用等に係る規定の整備、③大麻草の栽培に関する規制の見直しに係る規定の整備等の措置を講ずる。
出典:厚生労働省
上記をより分かりやすく要約すると
- 医療用の大麻は規制を緩和
- 麻薬としての大麻は取り締まりを強化
ここからはそれぞれのポイントについてより詳しく解説していきます。
法改正①|医療用大麻の規制緩和
今回の法改正の最大のポイントとも言える医療用大麻の解禁。
実は2019年から臨床試験(治験)段階では、大麻由来の成分の使用が認められており、今回の法改正により、実際の医療の現場でも大麻を使用した医薬品の使用が可能になります。
大麻成分の効果が期待されている病気・症例は200以上とも言われており、具体的には以下のようなものが挙げられています。
神経系 | てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー型認知症 など |
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精神系 | 不安、不眠、うつ病、PTSD など |
消化器系 | 食欲不振、炎症性腸疾患、吐き気 など |
痛み・睡眠 | リウマチ、神経痛、線維筋痛症 など |
その他 | がん、ぜんそく、HIV、緑内障 など |
また今回の法改正では医療用大麻の解禁に伴い、適切な栽培・管理・流通のための免許システムの見直しなども行われる予定で、より安全に大麻成分が使用できるようになるでしょう。
法改正②|「使用罪」で麻薬としての大麻は取り締まり強化
医療用大麻を解禁する一方、違法薬物としての大麻は規制を強化する方針となっています。
大麻規制の最大のポイントとも言えるのが、大麻の使用を取り締まる「使用罪」の創設。
これまで、大麻の「所持」が違法であるのに対して、「使用」は取り締まり対象外とされていましたが、今回の法改正以降は「使用」も罪に問われるようになります。
また大麻由来の製品についてはTHCの残留度によって違法か否かの判定が為されるため、冒頭でも述べた通り、大麻そのものだけでなくTHCを含んだ製品も「使用罪」の対象です。
加えて、THCを加工して生じる成分(THCHやTHCV、HHCHなど)についても以下のように言及されており、今後はより規制が強化されていくでしょう。
保健衛生上の危害発生防止のため、大麻草由来製品に微量に残留するTHCの残留限度値を設けることとする。また、大麻草由来の成分のうち、化学的変化により容易に麻薬を生じ得る一部の成分について麻薬とみなすこととする。
(下線は筆者が加筆)出典:厚生労働省
【補足】なぜこれまで大麻の「使用」は違法でなかったのか?
今回の法改正で初めて使用罪が創設されることになりましたが、なぜこれまで大麻の使用は違法とされていなかったのでしょうか?
実はこれまで大麻の取り締まりは大麻の「部位」によって行われていました。
というのも、大麻の安全な部位(茎や種子など)は、麻織物や七味唐辛子などにも使用されており、大麻自体を丸ごと違法とするのは難しいのです。
一方、そうした七味唐辛子など安全な部位にも、ごくごく微量ではありますがTHCが含まれているため、尿検査では陽性反応が出てしまう可能性があります。
尿検査の陽性から、どの「部位」を摂取したのかを判別することは難しく、これまで大麻の使用は取り締まりの対象外とされていました。
しかし今回の法改正により、大麻の「成分」による取り締まりが実施されることとなり「使用」を罪として取り締まることが可能になりました。
【2023】大麻取締法改正によるCBDへの影響は?使用罪で違法になる?|まとめ
今回は2023年に改正された大麻取締法によるCBD製品への影響や、法改正の中身についてご紹介してきました。
結論として、純粋なCBD製品は法改正以降も問題なく使用することができます。
ただし、THCやHHCHなど類似する成分を含む場合は規制の対象となるため注意が必要です。
また違法成分を含んだ大麻製品については、厳罰化の動きが進んでいます。
違法成分が混入することの無いよう、CBD製品は信頼できるショップから購入するようにしましょう。